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2010年2月22日月曜日

悲劇のプレジデントウィーク

リンカーン(2/12)とワシントンの(2/22)誕生日を挟む2月の第3週目はプレジデントウィークと呼ばれて1週間休みにする学校が多い。私の町も3年前まではそうだったが、今は月曜と火曜の二日間だけ休みである。
この週はアメリカの冬休みみたいな週と思ってもらっていい。この期間はリゾートはやや込み合うので格安では旅行できない。だから私としてはうちの町が休みにしないのはありがたいことである。
第2週目に大雪が降って、二日も雪で学校が休みになったので、スキー、スキー気分の我が家であった。冬は短いので、雪に恵まれた時にはそれを謳歌しなければならないと私達は思っている。
Mountain Creekのサイトに行って、Terrain Park Floaty 3 on the Step Downというのをクリックしてもらうと、うちの子のジャンプが見れる。(いつまでアップしているかは分からないので、なかったらごめんなさい)
ジャンプ、何回転するか、レール、こういったトリックを練習するためには、できることなら毎日でも行きたいところだろうが、学校、宿題、他のスポーツ(アイスホッケーにバスケット)試合に練習、その上スキーだなんて、そう簡単なことでもない。しかも連れて行くのは親である。
スキー山の麓に住みたいぐらいだ。

このジャンプは大変危険である。着地が急な坂になるのでスキーがはずれたりする可能性が高い。実際この日、彼ははずれたスキーで唇を切ってドラキュラのようになり、真っ白な雪に真っ赤な血で染めた。しかもしばらく動かなかったので、歯を折ってしまったのかと思った。救急室で見てもらったら、少し唇を切っただけでたいしたことがないと言われると、本人も私もほっとした。
その日の夜に自分のジャンプがスキー場のサイトに載っているとわかって、“この怪我はもう気にならない。”と、ますます意欲的である。
大雪のお陰で、木曜、土曜とスキーに息子とその友達、Fを連れて行った。

Fの家族(双子の弟と妹がいる)は湖のほとりにある別荘に土曜日から行くが、Fはバスケットの練習とインドアサッカーの試合があるので一緒に行けない。私たちも日曜日にはアイスホッケーの試合があったので、その別荘には行けなかったので私がその子を週末預かって、日曜の夜に私達がその別荘に行くという事になった。
そして、プレジデントウィークの月曜と火曜が休みをその辺りにあるスキー場で私たちもスキーするという事に何となくなってしまっていた。
私もこのスキー場には7年前に行ったきりだったので、久しぶりに行ってもいいかと思った。
私は彼の両親もこの二日間、そこにいると思っていたが、火曜日には仕事に行かなくてはならないと言って月曜に帰ってしまった。これは私の予定外だった。
私はかわいそうにも、この二人のティーンエイジャーの面倒をもう一日、一人で見なくてならなくなった。
こないだの日本の出張の時、うちの子を預かってもらったので、これも使命と受け入れたが、この状態での6日間は長かった。私の逃げ場所がなかったからである。
親がいなくなって、別荘の主となった金持ちの息子,FはXーBOXをリビングルームの大きな液晶テレビに接続し、アメリカンアーミーがテロリストを殺すというゲームを始めた。

晩ご飯は彼の勧めで日本食のテイクアウトとなった。
そのメニューにある住所をナビは読み取らないので、Fについて来てもらおうと思ったが、ゲームをやめない。”どうやってそこに行くかなんて知らない。20分ぐらいかかるから、すぐにでも出た方がいい。”と言って自分はついてくるつもりはないようなので、息子を連れて出かけた。
雪の降る中、私達は迷い、何度もそのレストランに電話を入れた。
一時間以上かかって、ようやく食べ物を持って帰ったら、私が席に着く前に既に食べ、食べ終わると、すぐにゲームを始めた。

その家はかなり高い温度に家の暖房をセットしていたので、特に2階は乾燥していて、私の咳は止まらず、部屋の窓を開けていたが、凄く体調が悪くなった。
部屋にある小さなテレビでオリンピックを見ながら休もうとしたが、一階から聞こえるライフルガンの音がうるさくて、全く休めない。
画面が血だらけになるゲームなど見たくないので、下に飲み物を取りに行くも億劫で、息子に持って来てもらった。
ゲームに興味のない息子は2階の別のテレビでオリンピックを見ていた。
12時についに私はその子を”ゲームをやめて寝るように”と怒鳴ってしまった。

次の日の朝、雪が降っていてコンディションも良くなかったし、私はどうしてもスキーに行く気になれなかった。
起こしても起きない子供を連れて行く気もしない。
しかも起きるなり、ゲームを始めたから、たまったもんじゃない。

うちの息子は小さいときから、ゲーム向きでなく、1時間もするとすぐに飽きで外に遊びに行きたくなる。だからPSPのブームの後から、Wii, XーBOXなどはうちにはない。
最近の子供たちがどんなゲームに中毒になっているかなど全く知らなかった。
親は何百ドルも出してX-BoxやWiiを買い、液晶テレビに買い替え、この手のソフトを買い与えているのである。お金のある家はツーインカムだから、ずーっと親が家にいるという事がない。しかも、家も大きいので地下室とか親が入らなくてもいいところを子供に与えれる。親は2階の自分の部屋で自由を手に入れれるので、機関銃の音も聞かなくてもいいし、画面の血も見なくてもいいのである。
息子の話ではアメリカではなく全世界のブームで85%までの子供がこれらのゲームに熱中しているという。驚いて声も出ない。

人の家で睡眠もうまく取れなかった私はジャンプの山の側面を滑って行く息子とFの後について、つい同じところ滑ったら、少しジャンプしてしまった。これも予定外で、着地に失敗して転んでしまい、即座に外れなかった左足のスキーで足首をひねってしまった。
立ち上がろうとしたらかなり痛かったので、息子に電話して来るように言って座って待っていたら、他のスキーヤーが救急隊を呼んでしまった。
立てないならソリで下まで連れて行くと言う。この際だから御世話になることにした。これはスキー歴の長い私にとって始めての経験だった。
救急隊は私をトレインパークで拾ったのと、私は小さくてティーンエイジャーのような格好だしゴーグルして口も覆っていたから、私が35歳以下である事を疑わなかった。
ゴーグルを外して歳がばれるのが怖かった。もちろん、書類に私のインフォメーションを書き込まなければならなかったので歳は簡単にばれてしまい、恥ずかし思いをした。苦笑。

スキーのブーツでは歩けないので靴を車から取って来てもらおうと、息子に電話をすると、
電話の向こうから、
”お前の母さんのファッキングシューズを取りに行けだって?”
とFの言葉。
”カーシングワードを使うのはやめなさい。” 私は怒鳴った。
”お前の言った言葉は母さんに聞こえているんだぞ”と息子はFを嗜めた。
ファックやヘル、カーシングワード(呪いの言葉)がひっきりなしに彼の言葉に入っていて、そういった喋り方が嫌いな私はずーっと嫌な思いで彼らの会話を聞いていたので、そういう言葉は使わないようにと朝に注意したところだった。
こうして思い通りにスキーが出来なかったFはずーっと不機嫌で、その顔を見ながら食べる高い昼食もまずくなった。息子は山に戻って滑りたいと言ったが、Fはもう滑りたくもないというので、別荘に戻った。そしてまたライフルで人を殺し始めた。スキーをしてくれていた方がマシであった。
ミスター・ムーディを母親がFの事を呼んでいたが、確かにミスター・ムーディ、ティーンエイジャーの代表であった。

私にとって最低なプレジデントウィークの休みになってしまった。
ありがたいことに左足なので車も運転できるし、仕事が家でできるので、生活に支障はないが、足を引きずっていると気分も落ち込む。

オリンピックに加担している?と私の友達。まぁ、そういうことにしておこう。
確かに今回のオリンピックはアクシデントの悲劇が多い気がする。

この怪我でスキーがしばらく(どのくらい?)出来なくなったのは、とてもとても悲しい。
運動を全くしないから、こういう怪我をすると息子はいう。確かに犬の散歩だけでは筋肉がなくなり、力もなくなり、弱々しくなっている。
この怪我が治ったら、ジムとかヨガに通うことを考えた方がようさそうだ。
今年は随分トリックが上達しているので、私の怪我でスキーに行けなくなると困る息子は、おどおどと私にスキーに連れていってくれるかと打診している。コンピューターを持って行って、ラウンジで仕事となるのだろう。
私はこの足の早期回復を願う私である。チャイナタウンの鍼に行ってこよう。(前回の故障はこの名医に治してもらった。)

世の中の贅沢な子供たちよ。親は苦労しているんですよ!感謝しなさいと叫びたい。

心にゆとりを持って生活するというのは大変難しい。

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